施主のライフスタイルを知り尽くした建築家。何でも言える関係だから、突き詰められる仕上がり。
「増田さんとは、お父様の代からのお付き合いでして、
うちの母が、所有する物件をずっとお願いをしてきたんですよ」
施主のM夫妻は、近隣エリアに複数のビルやマンションをもっている大家さん。
そして増田工務店は、増田嘉治さんのお父様の代から、
地元にこだわった仕事を 続け、 いまや半世紀を迎えたとのこと。
施主も工務店も40年越しのお付き合いというわけである。
今回のリフォームポイントは?
「まず、いわゆる日本の普通っぽい住宅にしたくない。って考えた。
施主のM夫妻は海外生活も長いですし、本当に質の良いものを知っている方ですから。」
「そこで、施主の好みを想定し、2人のインテリアデザイナーに声を掛けて、
プランをコンペにしたんです。
結果、芸術家肌のYさんの、大胆なプランが選ばれましたが、
施工していく中で切り捨てたプランも沢山ありましたよ。」
「Yさんだって、店舗のインテリアも手がけるプロ中のプロ。
デザイナーのイメージをふくらませるのも大切だが、
最終的には施主の住みやすさが、最優先。
そのバランスをとるのが、私の仕事でもあるんで。」
例えば、マンションという構造のため、天井を横断する梁はどうしても外せない。
この梁を必然に見せたいと考えたインテリアデザイナーは、折り上げ天井を採用した。
だが、天井を半分作ったところで、「圧迫感が気になる」という施主の意見から、 プラン変更をおこない、天井を再度取り壊したり。
図面で見えることと、実際の施工は違うモノなので、
臨機応変さが必要だという。
「言いたいことを言い合える仲でないと、こうはできなかったと思うわ。」と施主のM夫人。
さすが40年のお付き合い。
これは、とても贅沢な家造りだと感心した。
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