施主のライフスタイルを知り尽くした建築家。何でも言える関係だから、突き詰められる仕上がり。
増田さんは、1995年の阪神淡路大震災の際、
新大阪から徒歩で被災地入って、
自腹で「地震の住宅被害調査」を行ったという。
「1階にカーポートがある木造住宅は、とにかく潰れていた。
瓦屋根は頭が重い から、地震で振られる。
あの構造だとこう壊れるのか、この構造だとこっちが弱いのか・・・
と、とに かく壊れ方をチェックして回った。
建築家としては、あの災害から学ぶものがなければいけない、
と思ったんだよ。」
事実、この震災を教訓に、日本の耐震基準は2000年に改正された。
多くの建築家は、耐震基準が法令だから守っている。
もちろん、悪徳業者でない限り、
安全な建築物を造ろうと努めているだろうが、
自分の足と目でデータを集めて、
自らが確信できる「耐震基準」を編みだし、
厳しく己に課している建築家は、どれだけいるだろうか。
オシャレな外観や内装も大切だが、 暮らすヒトの命や財産を守ることが、
住宅の大きな使命である。
増田さんには、愛想や耳あたりのいい営業トークはないが、
建築家としての、愚直なまでに真剣な責任感が垣間見えた。
建築家を選ぶと言うことは、 大げさに言えば、
愛する家族の命を預けるようなものかもしれない。
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